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歩き出した未来の機械なう!

2足歩行ロボットの研究者の目からみたあれこれ。

謎のエンジニアDr.Gueroさんのこと

前回は人間が当たり前に出来る事をロボットにさせる事が難しいと説明したが、それをひっくりかえしてしまうのが今回のお話だ。僕の小理屈などどこ吹く風と、人間のさまざまな動作をロボットで軽々と実現して見せるとんでもない人物がいるのである。まずはこの動画「二足歩行ロボットを自転車に乗せてみた」 を見ていただきたい。

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ホビー用の小型ロボット(近藤科学KHR-3HV)が、小さな自転車を巧みに乗りこなしている。両腕でハンドルをきって自在に 方向を変え、止まるときは上手に足先でブレーキをかける。そこから再び走り出す様もとてもスムーズだ。 「へー、村田製作所ムラタセイサク君に比べて低予算っぽいけど、なかなかやるね」感想それだけですか? そんな人には、 次の数式を進呈したい。

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これらは、自転車がある速度で走っている時、ハンドルの回転と自転車の傾きがどう変化するかを表す 微分方程式。米国コーネル大学のアンディ・ルイーナ教授の指導のもと、博士課程の学生が 自転車の操縦特性を精密に分析した研究から拝借した。

僕たちロボット工学の研究者が自転車で走るロボットを作りたいと考えたら、普通はまずこのように 現象を表す方程式を作ることからスタートする。何かを思いの通り動かしたかったら、 その対象をできるだけ正確に理解することが大切だからだ。

一方、「ドラゴンボール」に登場する悪の天才科学者ドクター・ゲロを名乗る人物のアプローチはこれとは違うようだ。Dr.Guero氏の解説記事によれば、このロボットを作る前に、まず簡単な実験機を製作して予備実験を行ったそうである(トランジスタ技術2012年10月号, p.190-197)。実験機はモータ2個で動く木製の自転車で、これによって、ハンドルの制御則と制御しやすい自転車の設計方法を把握した。最終的に得られたのは、傾斜角のPID制御でハンドル操作角を決め、ゲインを速度に応じて可変にするという、シンプルだがとても強力な手法である。

解説を読んで感じ、先日ついにご本人と直接お話する機会を得て、確認できた事がある。それは、一言で言えば、抜群の「エンジニアリングセンス」の良さという事になろうか。僕の考えでは、優れたエンジニアは「頭でっかち」ではない。目的に対して仮説は立てるが、常に手を動かし、現実と対話しながら、目標に向かって柔軟に最短の道を見出してゆく。それは、Dr.Guero氏が次々と発表し、毎回僕らを唸らせる素晴らしいロボット達のパフォーマンスを見れば明らかなことだろう。

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Dr.Guero氏こと山口雅彦さんには、来週、渋谷で開催されるセミナー(5月18日(水)13:30~)で話をして頂くことになっている。どんな話を聞かせていただけるのか、今から楽しみで仕方がない。

BINET戦略セミナー160518 「2016年のロボット技術ネクスト・トレンド」

P.S. このセミナーは本来企業の方を対象としていて26,000円(税別)というお高い参加費なのだが、 参加して話を聞いてみたいという方は、お申込フォーム最後の「その他ご意見ご要望等ご記入ください」欄に「梶田のブログで知った」 と一言お書き下さい。当日参加の場合は受付にてこっそり「梶田のブログに書いてあった」とお伝えください。参加費が半額になります。